私の地元、K県は昔は結構暴走族がいました。
今は、地元に帰っても、あまり見かけなくなりましたが、私が大学生の頃は、まだ結構いたような気がします。
その、暴走族の何人かが、廃病院に肝試しに行った怖い話を、今回はお伝えします。
地元では結構有名な病院で、私も大学生の時に行きました。
その、後日談も、最後にお話しさせていただきます。
長文になっていますが、お許しください。
廃病院の肝試しの怖い話
あなたは、肝試しに行った事はありますか?
私も肝試しには、かなり行っていますが、何といっても、怖い場所と言えば、閉鎖的な空間です。
超有名な心霊スポットとかでも、公園とか、外だと何とかなるものですが、トンネルとか建物の中は、逃げ場がない気がして・・・
何かが出てきたり、襲われたりしたら、どうすることもできない!
逃げられない!
そう思うと、それだけで相当怖かったです。
今回は、そのひとつ、病院の怖い話です。
今回の主役はA君なので、A君の立場で書きますので、そのようにお聞きください。
K県S病院
良くある話だが、つっぱているのが、かっこいいと思っている。
まぁ、実際何をやっていてもつまらなくて、色々無茶な喧嘩とかも、繰り返している感じ。
今日も、やることが無くて、仲間とビリヤードに来ているが、いまいち面白くない。
俺は溜め息交じりで、独り言のように言った。
『あぁ、なんかつまんねぇな。なんかおもしれぇ事ないかな~。』
『あぁ、そうだな。なんか派手な事やりてぇな・・・そういえば、この前先輩に聞いたんだけど。』
『なんだよ。』
『A、お前S病院って知ってるか?』
『S病院?』
『そう、相当やばいらしいぞ。』
『やばいって?』
『確実に出るって。そんで、ついてくる事もあるらしいぞ。』
『あ~、それ知ってる!結構有名な心霊スポットだよね!』
俺と連れのB、それと女の子のCとDがいた。
俺とBの会話に、いつもノリがいいCが乗ってきた。
『そう。かなり出ることで有名な病院があるんだよ。』
Bいわく、経営難で倒産した病院跡地があり、簡単に中に入れるため、有名な心霊スポットになっているという。
ただし、相当やばいとの話があり、話をしてくれた先輩も、中に入ったものの、全部回る前に逃げてきたらしい。
まぁ、その話をしたという先輩は、俺に言わせれば、普段から『腰ぬけ』野郎だったが。
『その病院は、元々総合病院だったから、結構デカくて、見ごたえあるぞ~。一番やばいのは地下らしい。』
『行くか・・・?どうせ、ここでグダグダしててもつまんねぇし。』
『よし!行こうぜ!』
『え~!やだ!絶対私行かない!』
『楽しそ~♪行こう、行こう!』
俺が、行くことを決断すると、提案したBと、ノリが良いCは賛同したが、Dはビビっている。
『なんだよ。Dって、意外と怖がりだな。』
俺が言うと、
『私すぐ見えたり、感じちゃうんだよね・・・だから、肝試しはちょっと・・・・』
『大丈夫だよ。俺らがいるから。それに、お前だけ行かないって、お前、どうやって家まで帰るんだよ。』
今は深夜1時を過ぎようとしている。
ここは県内メインの国道沿いにある店。
とても徒歩で帰れるような場所ではない。
S病院へ行った後、送っていくと、半ば強引にDも連れて行くことになった。
メス
俺とBのバイクの後ろに、それぞれDとCが乗って、早速S病院へと向かった。
場所はすぐに分かった。意外と近くにあるもんだ。
30分もしないうちに到着した。
ただ、その雰囲気はすごかった。
外から見ても荒れている事がよくわかる。
ガラスは全て割られ、色々なものが散乱しているのが見て取れる。
すると早速Dが、
『やっぱり帰ろうよ・・・』
と、ビビり始めた。
『大丈夫だって。サッと見てサッと帰ろうぜ。』
俺は、サラサラそんな気は無かったが、言ってやった。
先輩がビビって全部回れなかったのなら、一番やばいらしい、地下まで見ないと気が済まない
『さてさて、どんなものか見てやろうじゃないの。』
お調子者のBが、早速割れた窓から侵入して行った。
続いてCが、その次にDを無理やり押し込んで、最後に俺が入った。
入ったところは、病室だった。
一瞬『ゾクッ』としたが、大したことは無かった。
シーツやガラスが散乱し、ナースコールがあっちこっちにだらしなく、ぶら下がっている。
『どこから見るかな。とりあえず、1階をぐるっと回ったら、上に行ってみるか。』
Bの言葉に、
『そうだな。メインディッシュの地下は、最後にとっておくか。』
早速病室を出て、俺たちは左側へ進んでいった。
侵入したのは、ほぼ右端の病室だった。
しばらく病室が続き、一つ一つ、来る途中で買った、小さな懐中電灯で照らしていく。
なんてことは無い。
侵入した病室と大差ない部屋が沢山あるだけだ。
『入る時はさすがにちょっとビビったけど、入ってみると、意外に大したことないな(笑)』
Bが軽口をたたくと、
『ずっと見られているよ・・・』
Dがぼそっと言った。
『えっ?』
建物に入ってから、ずっと誰かが見てる・・・』
『変な事言うなよ。誰もいないぞ。ホームレスでも住み込んでるんじゃないのか。』
確かに、病室の一つに、布団が集められて、カップラーメンのごみなどが、散乱している部屋があった。
焚火の跡もあったから、ホームレスが住み込んでいた時期が、あったのかもしれない。
しばらく行くと、広い受付のあるホールに出た。
その奥に階段があるのを見つけ、とりあえず2階へ進む。
2階、3階と進んでも、何も起こらない。
やっぱりつまんねぇ、と思いながら、最上階の4階へ進む。
4階はひどい有様だった。
恐らく俺たちと同じように、暇を持て余した連中がやって来たのだろう。<
病室のあっちこっちに、スプレーで落書きされている。
『俺らも持ってくればよかったな。最上階まで来た記念残したかったな。』
『わっ!!!』
Bが言い終えると同時に、Cがいきなり大声を出した。
『何!?』
『あれ、血・・・・』
『どこ・・・?』
Cが指をさす方に、俺とBは目を向けた。
真っ赤に染まったシーツが、ぐちゃぐちゃに丸めて置いてある。
『真っ赤だな。本当の血なら、時間が経つと黒くなるんだよ。あれ、スプレーじゃないか?』
俺が言ってやると、
『・・・そうだよね。』
と、納得したのか、Cはそれ以上何も言わなかった。
結局、何事もなかったので、そそくさと俺たちは引き上げ、地下へ行くことにした。
1階まで降りてくると、
『あの赤いシーツが落ちていた部屋。女の人がこっち見てた。
白いワンピースが真っ赤になって・・・』
『マジで!なんでそれ先に言ってくれないんだよ~俺も見たかったよ~』
Dの言葉に、Bは、自分には見えていない為、調子よく答えた。
『戻るのも面倒だから、サッサと、地下に行こうぜ。』
俺は、何故か、何も起こらない事に、苛立っていた。
やっぱりつまらねぇな・・・
階段を降りようとすると、いきなりDが大声で叫んだ。
『そっちはダメ!!絶対に行っちゃダメ!』
『はぁ~、ビビってんなら来なくていいよ。だったら、一人で外で待ってろよ。そっちの方がよっぽどビビるぞ。』
俺が付き離すと、Bが、
『まぁまぁ、なら俺が一緒にDと外で待ってるよ。なぁ、それなら良いだろ?』
『ダメ、絶対に行っちゃダメ・・・』
そういうDを、Bがなだめながら外に連れ出し、地下へは、俺とCが2人で行くことになった。
『なんだかんだいって、Bもビビってたんじゃねぇの。』
『そうかもね~。でも、なんか、地下って月明かりもなくって、本当に真っ暗ね・・・』
地下は本当に暗かった。
コンビニで買った小さな懐中電灯二つでは、頼りない事は確かだった。
『ビビってないで、サッサと行くぞ。』
地下には手術室があった。
恐らく霊安室もあるだろうと踏んでいたが、鍵がかかって、入れないところもあり、発見できなかった。
手術室は、メスなど医療器具が散乱していて、ある意味危険だった。
『Dがいたら、ここもやべぇ、とかいうんだろうな。結局何もないじゃん。
記念にこのメスでも土産にするか。』
俺はメスを拾って、持って帰る事にした。
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電話
病院の外に出てみると、BとDがいなかった。
『どこに行った?先に帰りやがったのか?』
自分から話を振っておいて、地下にも行かず、先に帰ったBに、俺は相当むかついた。
とは言っても、当時携帯電話もなかったので、仕方なくCを家まで送って、俺も帰った。
俺が家に着いたのは、もう2時半を過ぎた頃だった。
翌日、BとDが交通事故で死んだと、Bの母親から知らされた。
どうやら、S病院の帰り道に事故ったらしい。
『勝手に先に帰るからだ・・・』
友人が死んだショックは、確かにある。
ただ、死んだことも含めて、勝手な事しやがってという、なんとも言えない気持ちになり、何となくCの家に電話をした。
Cの母親が出たが、Cは電話に出られないという。
理由を聞いても詳しく教えて貰えない。
もやもやした気持ちのまま、俺はその日を過ごした。
そして、深夜にその電話がかかってきた。
『もしもし。』
『・・・・・』
『もしもし!』
『・・・・・』
『おい!ふざけてんじゃねぇぞ!』
『ツーツーツーツー・・・』
俺のイライラは絶頂だった。どいつもこいつも・・・・!
なんだってんだよ!
俺のイライラをよそに、その電話は次の日も鳴った。
『もしもし。』
『・・・・・せ・・・』
『おい、何なんだよ!こんな時間に!』
『・・・・・えせ・・・』
何だよ!なんて言ってんだよ!
『ツーツーツーツー・・・』
こんな日が1週間続いたある日、Cの母親から電話がかかってきた。
Cが自殺を図ったということだった。
幸い命は取り留めたが、ここ1週間ずっと様子がおかしかったという。
自分の部屋で布団にもぐりこみ、
『ごめんなさい、ごめんなさい・・・』
と、ずっとブツブツ言っていたという。
何か心当たりは無いか聞かれたが、『知らない。』と答えた。
さすがに、俺も何か変だと思った。
ただ、その何かが、まだ判らなかった。
得体の知れないものに対する恐怖が、徐々に芽生えてきた・・・
そして、その日の夜も電話が鳴った。
『もしもし!お前誰なんだよ!何とか言えよ!』
俺は、急激に怖くなってきた。
周囲で起きている異変に、毎晩毎晩、深夜にかかってくる無言電話に。
得体の知れないものに対する恐怖・・・
『・・・えせ・・・』
『何なんだよ!はっきり言えよ!聞こえねぇンだよ!言いたい事があるなら、はっきり言ってくれよ!』
俺はもう半泣きだった。
『・・・かえせ・・・』
『あぁ~!!』
『・・・それを・・・かえせ・・・・』
『・・・返せ?・・・
これか!これを返せばいいんだな!?』
『・・・それを・・・かえせ・・・・』
『分かった、明日返しに行くから!返すから許してくれ!!』
S病院に行った事を、メスを持ってきた事を、俺はさすがに後悔しはじめた。
何も怖いものなんかないと思っていたが、得体の知れない、コイツにだけはかなう気がしない・・・
夜に返しに行くのはさすがにもう無理だ。もう、俺は完全にビビってた。
次の日の昼に、バイクでS病院へ行った。
『どうだ!これでいいだろ!もう許してくれ!頼む!』
『ガッシャーン!!』
俺はそう言って、窓から病院へメスを投げ込んだ。
ホッとして家に帰ると、どっと疲れが出たのか、真昼間から寝てしまった。
どうやら、そのまま夜まで寝てしまったらしい。しかし、いつもの電話で起こされた。
『おい!もう返しただろ!なんなんだよ!』
俺は気が狂いそうだった。発狂するように電話に叫んだ。
その時何故か時計が目に入った。
・・・2時・・・
俺たちがS病院へ行っていた時間だ。
電話は、いつもこの時間だった・・・
『・・・・か・・・・』
『なんだよ!なんだんだよ!』
『・・・あるか・・・』
『何がだよ!』
『そんな返し方があるか!!!!!』
まとめ
長い話になってしまいましたが、いかがでしたか?
この後、A君がどうなったかわかりません。
他3人の状況を考えると、ただでは済まない気がしますが・・・
それに、ここには、かなりの数の霊がいたと思われます。
恐らく、病院を徘徊している霊、4階にいた女性の霊、そして手術室にいた霊。
最低3体はいたと、推測できます。
相当やばそうなところだな~、と思いながらも、私はこの話を聞き、友人と3人で向かいました。
具体的な住所は分からなかったので、目印の国道近辺を捜し、ガソリンスタンドで聞き込みをすると、ようやく分かりました。
しかし、ようやくたどり着いたと思ったら、もう病院は無くなっていました。
いまでは、立派なイ○ーヨー○○ーが建っています。
ここにいた霊たちは成仏出来たのか・・・
今も、このスーパーで彷徨っているのでしょうか?
それは私にもわかりません。
それを考えると、どこに行くにしても、そこに昔何があったって、分からないから、怖いですよね・・・
逆に分かっていても、怖い時は怖いですけどね。
次回は、元病院の建物に泊まった話をお届けします。