この話は、私が学生の頃、よく仲間に話をしていた、旅行の怖い話です。
誰から聞いたのか、全く覚えていないのですが、何故か、今でも頭から離れない話なんです。
よく男2人に女1人、微妙な三角関係って、ありますよね。
そんな、微妙な三角関係の中で起きた、真冬の貸別荘で起きた、恐怖体験です。
男の名前はマサヒロとユウイチ、女の名前はマミコです。
b>よく覚えておいて、話を読み進めてくださいね。
あなたも、仲間と思っていた、微妙な関係には、くれぐれも気をつけてください。
真冬の貸別荘
マサヒロとユウイチ、そしてマミコは、高校時代からの仲間だ。
現在は、ユウイチとマミコが同じ大学へ通い、マサヒロは別の大学へ通っている。
大学違っても、3人は飲みに行ったり、今でも、時折集まるような仲だった。
ある時、マサヒロが
『なあ、今度の連休でどっか旅行に行かないか?』
と、2人を誘ってきた。2人は、
『おぉ!いいね~!どこに行こうか?』
『いいよいいよ!どこかおすすめある?』
乗り気の2人に、マサヒロは満足げに、
『この前テレビでやっていたんだけど、○○県に安い貸別荘があるんだよ。
近くに温泉もあるし、夕飯は鍋を作るなんてどう?』
『それ最高!楽しそうじゃん!』
『なんか合宿見たいで楽しそうね。そうしよう!』
マサヒロの提案は即決され、3人は貸別荘を使って、旅行に行くことになった。
車はレンタカー。マサヒロとユウイチは免許を持っているが、マミコは持っていない。
男2人が交代で運転することになった。
そして、旅行当日、3人は朝早くに待ち合わせをした。
レンタカーは、ユウイチが借りてきた。
3人は、この後起こることなんか、当然考える由もなく、大騒ぎをしながら車を走らせた。
その後、立ち寄りできる温泉で、旅の疲れをとると、買い出しを済ませ、早速別荘へと向かった。
そこはN県の有名な温泉地、○○温泉から、さらに山を登って行ったところにあった。
温泉地までは除雪されていたが、山道は、2月ということもあり、かなりの雪がある。
『運転気をつけてね。』
『大丈夫だよ。ちゃんとチェーンもつけてるし。
何度もスキーとか行って、慣れてるから、心配すんなよ。』
確かに、かなりの雪が積もっているうえに、急なカーブが続く、上り坂になっている。
慣れていないと運転に、かなりの神経を使いそうだ。
『本当に、余裕こいてぶつけるなよ。俺の名義で借りてるんだからな。』
『大丈夫だって。』
元々、自信過剰なところがあるマサヒロは、2人の忠告をさらっと受け流した。
山道を30分くらい登って行ったところで、ようやく目的の貸別荘が見えてきた。
うっそうとした森の中に、ひっそりと建つ、その貸別荘は、なんだか古ぼけた洋館のような作りだった。
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一緒に来てくれ!
別荘についた3人は、あたりを散策して回った。
まだ日が昇っている。
『かなり早く着いちゃったな。』
『そうだな。それにしても何もないところだな。木と雪しかないぞ。』
『まー、そう言うなよ。たまにはこういうところで、のんびりするのも良いだろうが。』
マサヒロは、自分が提案した旅行プランに、ケチをつけられた気分になり、ちょっと『ムッ』とした表情で答えた。
ユウイチはそれに気が付いていない。
マサヒロは、元々ユウイチが気に入らなかった。
マサヒロは、大学受験に失敗し、2人とは別の大学に通っている。
高校時代にはない感情だったが、マミコと同じ大学に通う、ユウイチに嫉妬もしていた。
今回だって、本当はマミコと2人で来たかったのだが、いきなりそういうわけにもいかず、『3人で』と、提案しただけなのだ。
『ねえ、もうそんなにやること無いし、鍋の用意でもしちゃおうか。』
マミコの提案で、夕食の支度をする事になった。
3人は早い夕食を食べ終わると、早々に『宴会』へと突入した。
ビールとサワーを用意してきたのだが、飲み始めが早かったため、10時を回る頃には、もう酒が無くなっていた。
『なんだよ。これしか買ってこなかったのかよ。ユウイチ、買ってきてくれよ。』
『なんでだよ。酒飲んでるんだから、運転なんてできないだろ。』
そんなの大丈夫だって。俺が運転してやるから、ユウイチも来いよ。』
マサヒロは、酒はまだ飲みたかったが、買い出しに行っている間、ユウイチとマミコを、2人で残すわけにはいかなかった。
麓のスーパーまでは、あの山道を下って、また戻ってこなければならない。
往復すると、軽く1時間はかかってしまう。
それでも、マサヒロは強引に、嫌がるユウイチを連れ出した。
『本当に気をつけてね。』
マミコは心配そうに、2人が出ていくのを見送った。
それから30分もしないうちに、
ドンドンドン!!!ドンドンドンドン!!!
と、激しく玄関をたたく音が響き渡たった。
『マミコ!俺だ!マサヒロだ!開けてくれ!
ユウイチの奴が、俺が運転するって言って、事故りやがった!』
『えっ・・・!』
『頼むここを開けて、俺と一緒に来てくれ!』
マミコが慌てて玄関を開けると、マサヒロが立っていた。
『あのヤロー、お前じゃ安心できねぇとか言いやがって、自分で運転してこのざまだ!』
そう言って、マサヒロは倒れ込むように、貸別荘へ入ってきた。
『大丈夫?ユウイチは?ユウイチは大丈夫なの?』
『あいつなら・・・もう死んだよ。』
そう、マサヒロが言い終えた時、
ドンドンドン!!!ドンドンドンドン!!!
また激しく玄関が叩かれた。
『マミコ!俺だ!ユウイチだ!
マサヒロが運転して、スリップして崖から落ちた!
早く警察と救急車を呼んでくれ!』
『えっ!マサヒロなら、今ここにいるよ!』
『マミコ!開けちゃだめだ!ユウイチは死んだんだ!
そいつはユウイチじゃない!』
『お前は誰だ!マミコ!そいつはマサヒロじゃない!
ここを開けてくれ!
マサヒロは、今、まだ車の中だ!
早く、警察と救急車を呼んでくれ!』
『マミコ!絶対開けちゃだめだ!ユウイチは死んだんだぞ!
信じられないなら、俺と一緒に来てくれ!』
『何なのよ!!!どっちを信じればいいの!!!!』
『俺だ!俺を信じてくれ!』
『違う!俺を信じてくれ!』
マミコは混乱しました。
あなたがマミコなら、どちらを信用しますか?
ユウイチは、『警察と救急車を呼んでくれ』、と、駆け込んできました。
マサヒロは・・・?
『俺と一緒に来てくれ・・・』
マミコが振り返ると、そこには血まみれのマサヒロが立っていた。
まとめ
いかがでしたか?
ユウイチとマミコの関係が、付き合っていたのか、昔のままの友達だったのか、それはわかりません。
ただ、マサヒロは少なくとも、マミコの事が好きだったんですよね。
この手の話で、家族を連れて行こうとしたり、恋人を連れて行こうとしたり、友達を連れて行こうとするケース多いですよね。
でも、大事な人だったら、その後幸せになってくれって思えないのか?
と、いつも思ってしまいます。
マサヒロの場合も、想いが熱過ぎた事と、ユウイチに対する嫉妬が混じり、マミコを残しておけなかったんでしょうね。
買い出しに行くときも、死んだ後も・・・