これは、誰だったか、大学の時先輩に聞いた話だったと思います。
当時、都市伝説の怖い話が、みんな大好きだったので、学校の怖い話とか、病院のネタとか、色々話をしていました。
誰かの家に集まっては、飲みながら、百物語みたいに語り繋いで、女の子を怖がらせていました(笑)
この話は、小学校の卒業間際の話だったというので、確か、6年生の話です。
話を聞き終わった時、背筋の寒気が止まらなかったことを、良く覚えています・・・
かずお
早速、かずおの話をお話しします。
分かりやすいように、『私』という書き方で進めますね。
夜に読んで、眠れなくなっても、責任取れませんよ・・・
転校してきたかずお
私が小学校6年生の時、そう、もう卒業も間際という時期に、転校生がやってきた。
かずおという、体の小さな男の子だった。
かずおは両親がいなく、おじいちゃんとおばあちゃんに、育てられていた。
なんでも、交通事故か何かで亡くなったらしいが、先生は、詳しいことを教えてくれなかった。
転校生が来ることは、珍しいことではないが、とりあえずどんな奴か試す為に、私たちは、からかったり、軽いいじめのようなこともやった。
でも、かずおは根性があるのか、泣きながら突っかかってきたり、へりくだるような事は、一度もなかった。
そうなると、いじるのもつまらなくなって、いつの間にか、もう手を出すことは無くなった。
それに、かずおは、かなり学校を休む子だったから。
もう、半分くらいは来ていないのでは・・・?
当時、私の学校では、誰かが休むと、配られたプリントや、宿題などを、一番近い奴が持っていく、という決まりがあった。
かずおの家に一番近いのは、私。
かずおが学校を休むたびに、プリントと宿題を持って行ってやった。
そこは、2階建ての古臭いアパートで、あまりお金を持っているようには、見えなかった。
いつもは、おじいちゃんかおばあちゃんに、プリントと宿題を渡すと、中には入らず、すぐに帰っていた。
でも、ある日かずおが出てきた。
顔色がものすごく悪い。
やはり、学校を休んでいるのは、何かの病気のせいなのだろうか・・・?
かずおが・・・
顔色がものすごい悪いかずおが言った。
『ファミコンがあるからやろうよ。』
と、私を家の中へ誘った。
当時、一番人気があったゲームは『ファミコン』、そういう時代だった。
聞くと、私が持っていないソフトがあるというから、上がって一緒に遊ぶことにした。
かずおの部屋に案内されると、襖や壁一面に、ポスターやら、キャラクターのシールやら、隙間が無いほど、ぎっしり貼ってあった。
その中には、神社に置いてあるような御札も、チラホラ混じっていた。
『なんだよこれ・・・』
『おじいちゃんが御札を貼っておけって。
でも、気味悪いから色々貼ったら、こんなになっちゃった・・・』
『剥しちゃえば良いじゃん。』
『そんなことしたら、おじいちゃんものすごく怒るから・・・』
『ふーん 。』
変わった家だな、とは思ったものの、その時は特に気にしなかった。
そのあと、1,2時間遊んで、その日は帰った。
そして、かずおは次の日も休んだ。
普通、小学校を休む時は、親が学校へ連絡を入れるものだ。
でも、かずおの家から、学校へ連絡してくることは無かった。
先生はいつも、かずおが学校へ、来るのか来ないのか分からず、ホトホト困っていた。
先生にかずおの様子を聞かれたから、
『顔色が悪くて、なんだか具合が悪そうだった。』
と答えると、
『おじいちゃんとおばあちゃんはいたか?いたら、学校へ連絡するように言ってくれよ。』
『昨日は見なかったよ。先生が家に電話すれば良いじゃん。』
『電話してるんだけど、誰も出ないんだよ。
今日行った時に、かずおにでもいいから、休む時は学校へ連絡するよう、伝えてくれないか。』
先生にそう言われて、その日もかずおの家に向かった。
家に着くと、またかずおが出てきて、今日も一緒に遊ぼうと誘われた。
また、一緒にファミコンをしていたが、ファミコンのソフトが、山積みになっているのが、うらやましくて、気になった。
『なんでこんなにソフト持ってんの?誰に買ってもらったの?』
『お父さんとお母さん。』
『そうなの?今どこにいるの?』
『死んだ。』
『・・・なんで死んじゃったの?』
『交通事故・・・』
かずおは、うつむきながら、ぼそっと答えた。
さすがにこれ以上は、聞いてはいけないと思い、話題を変えた。
『ところで、明日は学校来るの?先生が心配してたぞ。』
『わかんない・・・』
『なら、休むならちゃんと学校へ連絡しろよ。おじいちゃんとおばあちゃんは?いる?』
『奥の部屋にいるよ。』
『じゃあ、おじいちゃんとおばあちゃんにも、ちゃんと言っておいてくれよ。』
『眠れないんだよ・・・』
『はぁ~?』
『眠れないんだ。毎日。寝ると、お父さんとお母さんが出てきて、僕を連れて行こうとするんだよ。』
『ちょっ、お前何言ってんの・・・?』
『かずお!かずお!って、何度も呼んで、こっちに来い!こっちに来い!って・・・
昨日は腕を掴まれたんだよ!』
『お前何言ってんだよ!俺、もう帰るよ!』
怖くなって帰ろうとすると、かずおは、必死になって私を引き留めようとしてきた。
『お願い、本当に眠れないんだよ!今夜だけでいいから、泊まっていってくれないか!』
『嫌だよ!泊まれるわけないだろ!』
そう言って、半ば強引にかずおを振り払って、何とか家に帰った。
そして、次の日もかずおは学校を休んだ。その日は先生も一緒に行くという。
車で、かずおの家まで一緒に来てみたが、呼んでも返事は一向に無い。
仕方なく、2人は上がって様子を見に行くことにした。
かずおの部屋を覗いてみたが、誰もいない。
奥にもう一つだけ、部屋があった。
昨日言っていた、おじいちゃんとおばあちゃんの部屋だ。
先生が襖をあけると、
『ギャー!!!!!!!!!!!!!!』
と、叫び声を上げて、すぐに襖を閉じた。
その一瞬の間、襖の隙間から、血だらけになった、かずおの姿が見えた・・・
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警察の取り調べで・・・
あの後、先生が警察を呼んで、色々対応してくれていた。
次に日には、先生から、かずおとおじいちゃん、おばあちゃんが亡くなった、と言うことだけ、みんなに知らされた。
気になってたから、かずおから聞いた話を、先生に伝えた。
先生は思案顔になった後、誰にも言わないという約束のもと、俺だけに教えてくれた。
かずおの両親は、交通事故ではなく、自殺で亡くなったのだという。
一家心中を図ったらしいが、奇跡的にかずおだけ生き残って、おじいちゃんとおばあちゃんに、引き取られたのだという。
なんだかそんな気がしていた。
後日、警察から事情を聴きたいと呼びだされた。
先生も付いてきてくれた。
警察にも、かずおから聞いた話をしたが、何度も何度も、『本当か?』と、確認をされた。
警察の人は、困った顔で、先生を見ると、こそこそ耳打ちをした。
すると先生が、
『あのな、俺とお前がかずおの家に行った日、あの時な、かずおたちが死んで・・・』
嫌な予感がした。
『・・・死んでから、最低でも3日は経っていたんだよ・・・』
・・・やっぱり・・・
かずおに泊まっていけと言われて、あの時泊まっていたら・・・
まとめ
心霊とか、かなり詳しいと自負している方なので、はじめ、なんで親が子供を連れて行こうとするんだろう?
と、単純に考えてしまっていました。
親なら、普通守護霊になっても、連れていくって事は無いですからね。
どんな事情があったのか、それはわかりません。
ただ、あなたの近くでも、急に学校へ来なくなったり、いつも顔色が悪い友達がいたら、何か心霊現象に悩まされているのかもしれませんよ・・・
くれぐれも、一緒に連れて行かれないように、注意してください・・・