今回は雪山、冬山での怖い話です。
霊が出てくる理由って、怨念とか未練とか、色々ありますよね?

怨念なら、理不尽な死を遂げた人が、地縛霊になってしまったり、関係者の前に現れたり
これは明らかに、周りに悪影響ありますよね。悪い事が起こりそう・・・

そういえば、こんな霊もいますね。
何らかの理由で亡くなってしまい、まだ見つかっていない場合
気付いて欲しくて、私たちの前に出てきてしまう。

こんな場合は、
『気付いて欲しかったんだと思います。』
って、お約束の終わり方になって、普通悪さはしないですよね。

今回は、そんな、自分が亡くなったことに、気が付いて欲しかった霊の話です。


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雪山で遭難した登山者の霊

テレビのニュースでも流れたらしいので、知っている人がいるかもしれません。
と言っても、20年以上前の話なので、見ていたとしても、記憶には残っていないでしょう。

これは、テレビ局のカメラマン石田さん(仮名)の体験談です。

1人目の遭難者

ビバークって分かりますか?
登山する時に出てくる言葉です。
管理人の私も山へ行きますが、とても高度な技術が必要なので、ビバークの必要があるような、山へは行けないです。

というのは、ビバークとは、登山中に、テントが張れない時や、天候が急に悪くなったりして、緊急避難的に泊まることなんです。

単純に泊まると言っても、そう簡単なことではなく、岩場のくぼみや、雪洞に寝袋だけで寝るんです。
冬山でのビバークは過酷です。
私も、冬の山で泊まった事がありますが、明け方は気温マイナス15度なんて時もありました。

テントの中が、自分で吐く息の水分で結露になり、それがガチガチに凍るんです。
そんな世界で、とにかく寒い

ビバークの場合は、テントも張れない状況だから、その苛酷さは想像し難いものでしょう。
とにかく上級者でも過酷な状況で、私はやったことが無いから、詳しくないですが、飛ばされないよう、岩場に固定するんでしょうか。
ある冬の日に、事件がありました。

とある冬の岩山に、寝袋に入った人が3日間も、ロープでぶら下がっているところを、地元の住民が発見しました。
ビバークしてて、落っこちたところ、ロープで固定していた為、転落を防いだ、そんな状態でしょうか。

それにしても、絶壁に3日間も、ミノムシみたいにぶら下がっているので、生きているのか、死んでいるのかさえ分からない
発見した地元の住民が、警察へ通報し、救助に出たものの、危険過ぎて近づけない
行ったら、2次災害につながる可能性もある、それほど切り立った断崖です。

雪山

警察もなす術もなく、拡声器で呼びかけたりしましたが、全く反応が無い
ビバークするくらいだから、登山の上級者であることに、間違いないんですが、3日間もあの状態では、安否が気になる

そうこうしているうちに、ある決断が下されました。

ロープをライフルで撃って落すんです。
もうそれしかなかったんでしょうね。
死んでいると仮定して。

日本の山岳事故としては、非常に珍しい対応なので、マスコミでも注目を集めたそうです。
登山者名簿から身元が山岡さん(仮名)と分かり、両親も駆けつけていました。

山岡さんは、山のベテランでした。
そして、何日経っても状況が改善されない為、両親は承諾し、実行されることになったのです。

2人目の遭難者は1人目の遭難者

カメラマンの石田さんは、登山もできる人で、山に強い若手を引き連れて、現地へ向かいました。
山岡さんが入っている寝袋を、ぶら下げているロープを、ライフルで狙撃する映像を撮るためです。

クルーは山へ入り、現場近くの山小屋を目指していました。
ただ、そんな事故が起こるような場所なんで、その日も天候が荒れてきました

クルーは『ゴォーーーーーーッ』
という音と共に吹き付ける、吹雪の中を進んでいきました。

『おーい!みんな大丈夫か~!』
石田さんは、声をかけながら進んでいきます。
機材もあるから、相当な重量の荷物があります。

何とか、目的の山小屋に到着しましたが、なんともボロい
雪風にさらされているからか、ガタガタ、ガタガタ音を立てています。

何とか火をおこし、暖を取った後、明日に備えて休む事になりました。
この状況が何日続くかわかりません。
体力を温存する必要があります。

石田さんは、他の若手を先に寝かせ、自分は火の番をする事にしました。
山小屋と言っても、断熱材なんてないので、火が消えたら、寒くて大変ですから。

『ゴォーーーーーーーーーッ』
『ガタガタガタガタガタガタガタッ』

物凄い音がする中、一行は寒さに震えながら、何とか寝袋の中で寝ようと、努力していたそうです。
『今後に備えて早く寝ろよ~』
『ウィ~ッス』

そんなやり取りの中、ある若手のスタッフが、物音で起きてきました。

『石田さん、なんか外で音が聞こえませんか?』
『何?』
『外で足音が聞こえるんです。ザクッ、ザクッて。聞こえませんか?』
『この吹雪の中、歩いてくる奴なんかいるわけないだろ。』

そう言いながら、石田さんは目を閉じ、耳を済ませてみました。
相変わらず外は、

『ゴォーーーーーーーーーーーッ』
という、物凄い音を立てています。

でも、その中で、確かに、
『ズッ、ズッ、ズッ・・・』
と、足音らしきものが聞こえます。
それが、徐々に小屋へ近づいて・・・

『バサッ、バサッ!』
って、小屋の入口付近でしたんです。
ウェアについた雪を払うような。

『おい!見に行ってやれ!』
石田さんが若手スタッフに言うと、彼は入口のつっかえ棒を外し、ドアを開けました。

吹雪なんで、急にドアが押し開けられ、ビューーーーーーーと、部屋に吹き込んできます。
『大丈夫ですか~!こっちですよ~!どこにいますか~!お~い!』
呼びかけに反応はありません

『おい!もういいよ!寒くて仕方ない!風もすごいから、一旦閉めよう!』
何だったんでしょう?
確かに音は聞こえたのに・・・

今の騒ぎでみんな起きてしまいましたが、石田さんは、気のせいだったのかな?と思い、これから何日も、足止めを喰らう可能性がある為、みんなに早く休むよう言いました。

山小屋

何とかみんな休むことができ、朝になって外に出てみると、足跡が残っています

『やっぱり誰か来たんだな。』
石田さんがそうつぶやくと、若手スタッフは、
『でも、これ、小屋に来たんじゃなくて、あっちに行っちゃてますよ。』

確かに足跡は、小屋に向かっているのではなく、小屋から先へ進むようについています。
『やばいな。この霧じゃあ、先が見えないぞ。危ないから、様子を見に行ってみよう。』

石田さんはそう言って、若手スタッフと、足跡を追いました。
もう霧で1m先も怪しいくらいです。

『足元気をつけろよ~』
『はい!』
そう言いながら、2人は進んでいきました。

すると突然、
『わあ!』
と、大声をあげて若手スタッフが足を滑らせました
とっさに石田さんは若手スタッフを掴み、引き上げます。

『だから言っただろう!気をつけろって!』
『すみません!あ~、危なかった~』

そう言って、足元を見ると、もう、すぐそこは崖でした。

『やばかったな~』
なんて言いながら、その下を何気なしに覗いてみると、

『石田さん!何か見えます!あれ、人じゃないですか!』

それからは大騒ぎ
やっぱり誰か来て、先も分からず進んでしまい、落ちてしまったのでしょう。

声をかけても反応はなし救助を呼んでも、先の登山者の救助があるから、すぐにはいけないとの事でした。
遭難者の取材にやってきて、別の遭難現場に居合わせてしまったんです。

仕方が無いので、石田さんたちは、狙撃の現場へ行って撮影し、この遺体も、別の救助隊によって、収容されることになりました。

山岡さんは、やはりぶら下がった寝袋の中で、亡くなっていたそうです。
高い場所から落下したせいか、山岡さんの遺体は、ご両親が直視できないほど、ズタズタになっていたそうです。

そして、石田さんが発見した2人目の遭難者も、やはり亡くなっていたのですが、実は1人目の遭難者だったんです。

実は、この2人目の遭難者と思っていた遺体は、1年も前に山へ入り、行方が分からなくなっていた、登山者だったんです。
すでに、死後1年は経っていたという事になるんです。

吹雪の中で聞こえた足音は、この1年も前に遭難した登山者が、自分を見つけて貰いたくて、やってきたんじゃないか。
そう、石田さんは思っていたそうです。


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死へといざなう登山者の霊

この話には後日談があります。

山岡さんの遺体が収容されて、2カ月位経った頃、彼の弔いの為に集まろう、という事になったんです。
仲間が集まり、日記やら写真やら、山岡さんの遺品を見て、彼の話をしようと。

その中に、現像されていない、山岡さんが遭難する直前に撮影したネガもありました。
それを現像し、写真も上がってきたんですが、何故か石田さんも集まりに呼ばれた。

確かに、山岡さんの最後の救出を撮影し、報道した。
でも、それほどの関係は無いはずだ。

石田さんは、行く筋は無いと思いつつも、何か気になり、出席したそうです。

すると、石田さんを呼んだ、山岡さんの登山仲間が、
『これが、最後のネガの写真です。』
って、山岡さんが撮った最後の写真を、石田さんのことろへ持ってきました。

主に風景が映っています。
その中に、あの小屋の前で撮った写真があります。
10人くらいで撮った写真の中に、山岡さんがいました。

3列ある中の、中央の列左側。
山岡さんが微笑みながら写っています。

『これなんですけどね。』
石田さんがその写真を見ていると、山岡さんの登山仲間が話しかけてきました。

『この、山岡さんの後ろにいる人、これ、あの日発見された遭難者なんですよ。』
『えっ!そんなわけないだろう。だって、山岡さんよりももっと前、1年も前に死んでいるんだぞ!』
『ええ、そうなんですけどね。これ、どう見てもあの遭難者なんですよ。』

そう言われ、良く見てみると、確かに、石田さんが発見した遭難者です。

山岡さんは連れて行かれたんだと、彼の友人は言います。
登山の上級者だった山岡さんが、あんなミノムシの状態でぶら下がっているなんて、そんなおかしな死に方はしないと。
あまりに不自然な死に方は、自分を発見させるために、あいつが山岡さんにした事だというのです。

確かに、あまりに不自然な事故だった為に、石田さんたちは、撮影の為に山に入り遺体を発見する事になりました。

石田さんが発見した遺体の登山者は、自分を見つけて貰う為に、山岡さんを連れていったのでしょうか。
この山小屋の前で、写真を撮った時には、彼を連れて行こうと、すでに決めているかのように、山岡さんの後ろで、笑みを浮かべながら、肩に手をかけています。

『おまえ、おれのためにしんでくれ』

そう言わんばかりに・・・

まとめ

霊が出てくる時は、何らかの理由があると、私は思います。

メッセージが分かれば、何らかの対処のしようがあります。
でも、今回のように、いきなり連れていかれたら対処のしようもないですね^^;

私たちは、身の回りのどこに、リスクが隠れているのか、怯えながら生きていかなければ、ならないのでしょうか・・・